画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2013年12月より。
若宮大路の一の鳥居近くの歩道には、大きな街路樹がたくさんあります。冬になり葉が落ちると、丸い緑のヤドリギがいくつも見えるようになります。住人の中にはこの大木とヤドリギに愛着のある方も多く、この道を管理する県が切らずに残してくれているようです。
ヤドリギは晩秋から冬にかけて、プロペラのような葉の間に白や黄色の実をつけます。なかにはネバネバした種が入っていて、鳥のふんに混ざって木にくっつき、そこから新たに芽吹くのだそうです。この実はキレンジャクやヒレンジャクの好物と言います。宿り木のついた大木にたくさん鳥がとまっていたので、下からじっと見ていたのですが、鳥の顔までは見えず何の鳥かはわかりませんでした。
ヨーロッパなどでは、クリスマスにヤドリギの小枝を吊るす風習があるといいます。もとはヤドリギの下を通る時に幸運や安全を願っていたものでしたが、未婚の男女の場合は幸せな結婚を願い男性からのキスを拒否しないという習慣が生まれたものとか。日本では馴染みのない風習ですが、この下を通るときは来年の幸運と安全を祈ろうと思います。
<絵/文 伊東雅江>
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