弁天堂茶屋 円覚寺

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2015年2月より。

鎌倉カレンダー2015年2月

北鎌倉円覚寺の山門の東側へ歩くと「国宝洪鐘」という看板が立っています。看板に従い鳥居のある長い急な石段134段を登ると、国宝の洪鐘(おおがね)があり、その向かい側に弁天堂と並んで弁天堂茶屋が見えてきます。茶屋の入りロにかかる緑色ののれんをくぐると、のれんの「福」の文字が額に入れられ、「前円覚寺朝比奈宋源筆」と説明書きがあって、北鎌倉らしいな、と思いながら中に入りました。

中には緋毛氈が敷かれた長椅子が崖のギリギリまでいくつも配され、その上に紺色の座布団が置かれて、いかにも「茶屋」らしい雰囲気です。すぐ先は崖になっている見晴らしのよい席に座ると、向こうの山まで見渡せる絶景が広がります。おしながきを手に取ると、お抹茶(お干菓子付)、ところてん(春夏秋)、名物甘酒(秋冬)、あんみつ、みたらし団子、などがあるようです。お店の方のおすすめは、夏はところてん、冬は名物甘酒。また注文ごとに焼いて出す温かいみたらし団子もやわらかく美味しいということでした。伺ったのはまだ汗ばむ時期で、ところてんを頂きました。するんと喉を通る、懐かしく美味しい味でした。

弁天茶屋は今年(2015年)の3月ごろまで今の場所で営業し、その後北鎌倉の駅前へ移るそうです。登るのがちょっと大変で眺めが素敵な今の茶屋がなくなるのは残念ですが、移転後のお店も楽しみです。

<絵/文 伊東雅江>

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