画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2014年9月より。
9月14日早朝4時ごろ、由比ガ浜へ鶴ヶ岡八幡宮例大祭の浜降式を見に出かけました。薄明の中、よく見ると何人かすでに待っていて、波打ち際には青竹にしめ縄を張り紙垂を垂らした忌竹が立てられ、清めの場が作られています。しばらくすると、鶴の印の入った白い鉢巻に、白い着物、袴を付けた神職の方々が、八幡宮から一列に歩いて来られました。
海岸で祝詞を奏上し、海で禊(みそぎ)をして藻塩草を採り、木の箱に入れ青竹に下げて神職の方が二人で担いで八幡宮まで持ち帰ります。列になって段葛を戻るのに付いて行くと、境内の鳥居や狛犬に清めの験(しるし)として藻塩草を捧げてから、本殿の階段を登って行かれました。
海岸で八幡宮の方が配っておられた紙には、祭事のいわれと、「この禊は日本人が古来受け継がれる民族の心を今に伝えるものとして大切なものです」と書いてありました。とても静かで、厳粛な儀式でした。
<絵/文 伊東雅江>
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