画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2013年3月より。
江ノ電稲村ヶ崎駅から七里ヶ浜駅方面に向かい、音無橋を渡って線路沿いを行くとある七里ガ浜3号踏切を渡り山側へ登 った山懐に、哲学者西田幾多郎博士が晩年を過ごした家があります。 このあたりを姥が谷といい、 この建物は、現在は学習院関係の研修・思索の場になっていて、鎌倉の住人にも開放され 読書会などが行われています。西田博士の名著「善の研究」の読書会に参加させていただきました。学習院で哲学を教えておられる岡野先生ご夫妻を囲み、参加の皆さんが熱心にお話されていました。建物の二階にある海の見える書斎の柱には、猫の爪あとが残っていました。猫好きだった西田博士には「猫とわれ暖炉をかこむ夜寒かな」という旬もあるそうです。
すぐ近くの七里ガ浜海岸には、不思議な形の西田博士の歌碑があります。設計は鎌倉近代美術館設計で知られる坂田準三氏。碑には「七里濱夕日漂う波の上に伊豆の山々果し知らずも」と刻まれています。
<絵/文 伊東雅江>
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