浄光明寺 扇川

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2013年7月より。

鎌倉カレンダー2013年7月

鎌倉駅西口から今小路を北へ、寿福寺、英勝寺を通り越してさらに進み、その先のT字路を右に曲がって、横須賀線のガードをくぐり、さらに扇川沿いに歩いていくと、左側に浄光明寺があります。皇室の菩提寺である京都の泉涌寺の末寺で、鎌倉には少ない真言宗のお寺です。歴史古く風情あるお寺で、山門を入ると静かな空気が流れていました。

広い境内には左側に客殿、右側に不動堂、裏に立つマキの巨木の後ろに仏殿が建っています。階段を仏殿の脇まで登ると、右手にお墓が並んでいて、奥の方には鶴岡八幡宮ゆかりの方の墓所もあり、鳥居の形の墓石が洞窟に置かれていました。また仏殿の左手に建つ収蔵庫には阿弥陀如来、観世音菩薩、勢至菩薩が大切に安置されています。仏殿裏の坂の上にある洞窟には漁師の網で引き揚げられた網引地蔵があり、さらに長い階段を上っていくと冷泉家の宝篋印塔があります。宝篋印塔の前には海が広がり、お天気が良い日には遠く三浦半島まで見渡せます。静かに佇む風情と歴史を感じられるすばらしいお寺で、鎌倉の宝物をまた一つ見つけた気持ちになりました。

右側に描いたのは扇川に立っていた看板です。「この川にはヨシノボリ(魚)やモズクガニのほか、ホタルの幼虫の餌となるカワニナ(貝)などの水棲小動物が生息しています。良好な水辺環境をみんなで創り育てましょう」と書いてありました。

<絵/文 伊東雅江>

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