建長寺山門 たぬき和尚

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2017年10月より。

鎌倉カレンダー2017年10月

北鎌倉駅から鎌倉方面へ向かい小袋坂を降りる手前の建長寺は、鎌倉五山第一位、山を背に建つ大きなお寺です。その山門(三門)は「タヌキの三門」とも呼ばれ、建立にタヌキが活躍したという昔話があるそうです。

今から300年ほど昔、万拙和尚というお坊さんが建長寺におられました。古くなった三門が傾いてきたので再建しようと、ひとり托鉢に歩いていましたが、なかなか資金があつまらず苦労されていました。古くからお寺の裏山に住むタヌキたちがその話を聞いて、お世話になっているご恩返しをしようと和尚の姿形に上手に変身しそれぞれ托鉢に歩いたため、村の人々はあちこちでみかける和尚を不思議に思うようになりました。それに気付いたタヌキたちはお寺に迷惑をかけてはならないと悩んだ末、和尚に正直に相談しました。タヌキたちの気持ちをありがたく思い、和尚は村の人々にいきさつを話しました。謎がとけ、人々は托鉢に尽力したタヌキや万拙和尚に感謝して、大勢の人がカをあわせて、立派な三門ができたということです。

この建長寺の三門は関東大震災にも耐え、国の重要文化財になっているそうです。

<絵/文 伊東雅江>

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