谷戸池

画家・伊東雅江さんの2015年5月の「鎌倉カレンダー」より。

鎌倉カレンダー2015年5月

大船駅西口(観音側)を出て、柏尾川にかかる橋を渡り、観音様に向かって左側の栄光坂を6〜7分登ると、玉縄交番前の信号があります。その信号を過ぎ、次の角を右に入って行くと、左側に地蔵堂があり、その手前を左に入り、少し進むと、谷戸池が見えてきます。玉縄の山の上から谷戸池を見ていると、白い水鳥が3羽、その後に一列に黒白二色柄の水鳥が泳いでいました。家に帰り、鎌倉の鳥について書かれた『かまくら鳥とりどり』を調べると、谷戸池に飛来するカモの一種キンクロハジロについて「黒白鮮明なツートンカラー。淡水を好む。頭のうしろに小さな冠毛をつけ桜の咲く頃まで越冬する。桜の花が散るころには花びらの間をこの二色のカモがゆったりとおよいでいる、2008年には谷戸池で26羽も来ていた」といった内容が書いてあり、まさに見た鳥の姿でした。GW後にまた行ってみると、もう渡去したのか3羽しか見られませんでした。

谷戸池は、かつては山からの水が流入してできた池で、やがて開発によりため池となり、池の水は汚れてしまっていました。近年浄化され、野鳥が越冬するまでにきれいになり、池のまわりの桜並木が鎌倉景観百選にも選ばれるほどになったそうです。近所の方に伺ったところ、環境負荷の少ないEM活性液をお団子にして散布し、微生物の力で年々水が綺麗になりましたが、諸事情で今年は散布がなくなり、地域の方々が今後の方策を考えておられるようでした。モリアオガエルが住みカワセミが飛来するほどになった池、長くきれいであるよう願っています。

<絵/文 伊東雅江>

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