由比ガ浜にあった昭和モダン住宅

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2013年5月より。

鎌倉カレンダー2013年5月

明治から大正・昭和の初めごろまで、由比ガ浜海岸沿いには有力政治家や政府高官・富豪の別荘が多く建っていました。若宮大路の一の鳥居の東側には、明治期に大蔵大臣や内閣総理大臣を務め、日本銀行を創設した松方正義公爵の、大きな和風の家がありました。周辺には他に、島津忠重、浅野総一郎などソウソウたる顔ぶれの邸宅が建っていたようです。松方侯爵の家の跡地を昭和の初めに13区画に分乗して立ったうちの一つが今回描かせていただいた建物です。建物の後ろには、よく手入れされた梅や椿が植えられたお庭がありました。門の脇には今も残された立派なタブノキが立っていて、ムクドリ・シジュウカラ・メジロ・キジバトなど多くの野鳥が遊びに来ていたそうです。

昭和初期から大切に使われてきた建物でしたが、2012年の春に更地となり鎌倉女学院の一部に繰り入れられました。13区画のなかはさらに小さく分けられ住宅が建ったものもあり、鎌倉の明治、大正、昭和の時代の移り変わりを感じるところです。

<絵/文 伊東雅江>

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