虫塚(建長寺)

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2021年5月より。

鎌倉カレンダー2021年5月

建長寺の総門を入って、三門、仏殿、法堂(はっとう)を右手に見ながら進み、正統院の前を通って半僧坊の参道を行くと、狛犬が並んでいてその先、右手に達磨大使の像、左手の竹藪の中に虫塚の立て札が見えてきます。

竹藪のほうへ入って行くと、箱を角の間に挟んでいるような大きな石でできたクワガタ虫と、本を頭の上に載せている石のカブト虫が、向かい合っている場所にたどり着きます。その側にある背丈ほどの石碑には、表に「虫塚」と、裏に「近代文明はおびただしい数の虫を殺してきました。それは今でもつづいています。それに気付いていると言うことを、銘記しようと、虫塚を建立しました。塚にしたのは、すべてを言葉にすることはできないからです。養老孟司、養老朝枝、隈研吾、挟土秀平 平成27年6月4日」と刻んでありました。

この虫塚は、建築家の隈研吾氏が設計、虫かごをイメージしたデザインで、ステンレスメッシュ製のケースを40個スパイラル状に積み重ねてあり、これは虫が天へと飛翔する姿を再現しているとのこと。ステンレスには、左官職人の挟土秀平氏がガラス繊淮を混ぜた建長寺の土を吹き付けて、特殊な質感が表現されており、塚の中心には本尊としてゾウムシが設置されています。このゾウムシは養老氏の別庄にあったもので、楽家の作品だそうです。

また、モニュメントの周囲に置かれた虫の彫刻は佐藤正和氏の作品で、台座の石は山梨県産出の鶴瀬石を使っているそうです。

この虫の彫刻一つ一つも魅力的で、モニュメントやまわりの風景と相まって全体の空間が一つの作品のようでした。

毎年6月4日には、虫供養の法要が行われているそうです。

<絵/文 伊東雅江>

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