除魔神事 | 鎌倉むかし物語

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2015年1月より。

新年5日、初詣の参拝者も少し減り、歩けるようになった鶴岡八幡宮で、朝10:00から除魔神事が行われます。御的始、御弓始、大的式ともいわれる伝統ある神事で、武家の仕事始めの儀式です。

武家の古都にふさわしい凛とした空気の中、舞殿の西庭に大きな的を掲げ、烏帽子・直垂姿の射手が的を射ます。的の裏側には鬼の文字が上下逆さに記され、新年に邪気を弓弦の音で祓うという意味だそうです。的奉行・幣振・日記などの諸役が古式に則って行われます。小笠原流の女性が丁寧に説明していました。的に当たると、前の方の子どもが紙房のついた棒をふりあげる様子がとても愛らしかったです。邪気が払われ、清々しい気持ちで新年の境内を後にしました。

今年一年よいことがありますように。

＜絵／文　伊東雅江＞

四季折々の鎌倉らしい情景や古くてすてきな建物などを描く、伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」。

過去のカレンダーから、イラストと解説文（ミニエッセイ「かまくら茶話」）を転載しています。内容は発行当時のものです。