画家・伊東雅江さんの2015年4月の「鎌倉カレンダー」より。
2014年4月8日、晴天の鎌倉海浜公園で、鎌倉同人会100周年記念の石碑を市に寄贈する式典がありました。
鎌倉同人会は、大正4(1915)年に陸奥広吉、勝見正成等により設立されました。史跡の保存や教育の普及、インフラ整備などに尽力し、現在の鎌倉を形造った要の一つでもある、歴史ある市民団体です。大正震災後に各寺社の重宝を保管するための施設として鎌倉国宝館を建設したことや、1915年の鎌倉駅改築でも景観に調和した設計を先導したことは特に有名です。そのほか、海水浴・観光客の増加に対応して公衆便所やごみ箱を設置したり、多くの史跡や重宝の保存活動など、多方面に活躍しました。段葛の桜とつつじの植栽など、現在の鎌倉の代表的な景観には、鎌倉同人会によって演出されたものが数多く残っているそうです。
記念の石碑は、海浜公園の江ノ電の保存車両のすぐ脇に建てられました。「鎌倉海浜ホテルここにありき」と書いてあるのは、設立の中心人物であった勝見正成が、海浜ホテル前身である海浜院の医師であったためだそうです。由比ヶ浜海岸にほど近い場所であり、100年記念の石碑は鎌倉海浜ホテルの名残を留める内容で、史跡の保存や景観に尽力してきた鎌倉同人会らしい記念碑と感じました。式典の帰りには、紅白のお鰻頭と鎌倉海浜ホテルの資料を頂いで帰ってきました。
<絵/文 伊東雅江>
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