ひとみ座 鎌倉アカデミア

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2014年4月より。

鎌倉カレンダー2014年4月

4月の右上に描いたのは、「鎌倉アカデミア」発祥の場所である光明寺です。材木座の光明寺を仮校舎として昭和21年に開校した鎌倉アカデミアは、四年で閉校となりながら戦後文化を担う才能ある人材を幾人も輩出した、地域の誇りとも言える学校でした。毎年5月には光明寺を会場に、「鎌倉アカデミアを伝える会」が開かれます。

鎌倉アカデミア卒業生の方から、演劇科の学生が手作り人形で人形劇をしていたお話を伺いました。はじめ市内の有力者の邸宅で公浪していましたが、やがて地方にも巡業するようになり、のちに「ひょっこりひょうたん島」で有名な人形劇団 ひとみ座となったそうです。興味深く思い、川崎にあるひとみ座にお邪魔してお話をうかがってきました。

以前は鎌倉に劇団がありましたが、川崎の幼稚園の廃園に移転した後、現在は東横線元住吉駅の近くに移っています。劇団の地下にある倉庫には、大きな舞台装置や沢山の人形の中に、鎌倉の頃のものも大切に保管されていました。人形は物語ごとに分けられて、青いケースに収納されています。描いたのはその中の、金貨を生む仔山羊のお話と、3つの願いのお話の人形です。3つの願いの人形ケースの中には、布で出来たソーセージもありました。別館のアトリエでは、若い団員さんがブレーメンの音楽隊を熱心に練習していました。このアトリエで、舞台装置から人形、小物まで、分担して作られているそうです。鎌倉アカデミアの情熱が今も伝えられていることが感じられました。

<絵/文 伊東雅江>

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