画家・伊東雅江さんの2017年1月の「鎌倉カレンダー」より。
鎌倉駅から金沢八景方面行きのバスに乗り「十二所」バス停で下車、信号を右に渡って細い道を右方向滑川沿いに進むと、光触寺があります。開基は一遍上人とも伝えられる時宗のお寺で、運慶作の立派な阿弥陀如来のご本尊がおられるのですが、今回描かせて頂いたのは本堂前の小さなお地蔵様です。塩嘗地蔵と呼ばれるこのお地蔵さまには、小さな昔話があるのです。
六浦から来ている塩の行商人が、お地蔵様の前を通るたびに塩をお供えしていたのですが、帰りに通るとお供えした塩がなくなっていました。行商人は「お地蔵様が舐めてしまっているのだろう」と言いながら、通るときには塩のお供えをし続けたそうです。
きっとその塩は誰かがありがたく使わせて頂いていたのかな、と、心がほっとする優しいお話と思い、年のはじめ1月のカレンダーに塩嘗地蔵を選びました。今年一年良い年でありますように。
<絵/文 伊東雅江>
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