画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2018年1月より。

北鎌倉の円覚寺の総門を入って進むと、右側に仏殿、左側に居士林が見えてきます。こちらの居士林で毎週行われている“土曜座禅会”に参加させて頂きました。
居士林は、当時この場所に建っていた濟蔭庵(当時学生に参禅の道を開くために結団された濟蔭団の庵)に、大正11年に居士の座禅道場として開設されました。しかし15年に失火のため焼失。現在の建物は、寄進された柳生新影流剣道場が昭和3年に移築されたものです。
明治頃より盛んになったという座禅には、山岡鉄舟、鈴木大拙、夏目漱石など、錚々たる文人インテリが参禅したといいます。
中に入ると、きれいに掃除された清々しい道場には正面に本尊の不動明王がまつられ、「頭燃を救うが如し」の扁額が掲げられています。整然と並べられた大きな紺色の座布団の上に箱枕のような小座布団が重ねられている席に着くと、静謐な空気が漂う室内にお日様が差し込み、思わず背筋を正しました。お坊様のお話を聞き、座禅を体験することができました。
引き締まったような、すがすがしい気持ちで帰路につきました。今年一年良い年でありますように。
<絵/文 伊東雅江>
コメント