画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2017年7月より。

わが家の庭先に、秋から冬の間ヤマガラがよく遊びにきていました。頬が白く体は赤みのある茶色、頭が黒いおかっぱ頭のような、スズメより少し大きな鳥です。シイやドングリを好んで貯蔵する習性があるそうで、なるほどうちの庭先には秋になるとドングリが沢山落ちています。
このヤマガラについて、各地の神社などでお祭りの屋台で芸を披露していた記憶をお持ちの方もおられるでしょう。50年ほど前には、鶴岡八幡宮の境内にもその屋台が出ていたようです。代表的な「ヤマガラのおみくじ」屋台では、お賽銭をくわえたヤマガラが、止まり木を伝って作り物の小さなお社へ参拝し、お賽銭を賽銭箱に入れて鈴を鳴らしてお社の扉を開いて中からリボンで結かれたおみくじをくわえ、手のひらまでもってきてそのリボンをほどく、という可愛らしい芸でした。また平安時代の歌集にヤマガラを詠んだ歌が見られるそうで、古くから身近な存在の小鳥だったのですね。
夏の間はあまりみかけないなと思っていたら、夏には昆虫の幼虫などを食べているとか。次にヤマガラに会えるのは、この暑さを乗り切った先のようです。
<絵/文 伊東雅江>
コメント