画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2018年11月より。

秋の夕暮れ時に江ノ電に乗っていると、稲村ヶ崎駅で若いカップルが下車するので不思議に思っていました。
稲村ヶ崎駅から徒歩5分ほど、七里ガ浜と由比ガ浜の間を仕切るように張り出す岬にあるのが“鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区”、通称稲村ガ崎公園です。海を見下ろす高台の広場にはボート遭難碑とコッホ博士記念碑が設置されていて、また新田義貞が剣を投じた伝説の場所でもあります。遠くに富士山と江の島、目の下には七里ガ浜の波打ち際が見える美しい景観から「かながわ景勝50選」に指定された公園でもあります。
別に若いカップルを追いかけたわけではないのですが、この公園へ夕方に行ってみたら、ほかにもカメラと三脚を構えた人たちがおおぜい、崖縁や小高い岬の斜面に腰かけ夕焼けを待っていました。
後で知ったのですが、陽が沈みまだ辺りが明るい数十分間は“マジックアワー”と呼ばれる影のない時間になるそうで、その時間帯のこの公園の幻想的な光景が鎌倉のPRポスターに使われていたようです。
なるほど、撮影スポットであり、また素敵なデートコースでもあるのですね。
<絵/文 伊東雅江>




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