夏の橋 浜木綿

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2014年7月より。

鎌倉カレンダー2014年7月

夏になると由比ガ浜海岸に注ぐ滑川に橋が架けられます。この橋は、海水浴シーズンが終わると、いつの間にか姿を消してしまいます。気になって市役所の方に尋ねたところ、海開きの日から8月末日くらいまで、海水浴客が便利なように架けられていて、昨2013年は7月9日~9月8日まで架けられていました。正式名称は「滑川仮設橋」といいます。

夏の鎌倉の浜辺では浜木綿が青い海を背に咲いています。稲瀬川の辺りに少し群生があるほか、あちらこちらで見られるようです。古くは万葉集で柿本人麻呂が、近世では鎌倉に住んだ歌人 吉野秀雄が歌にしています。

この島を北限とせる浜木綿の 身を寄せ合ふがごとき茂りよ
草質といへど逞し浜おもと 佐島の磯にいのち根づきし

「寒禅集」

吉野は浜木綿の群生する様子に逞しさを感じたのですね。他の草花が生えない夏の砂浜に群れる浜木綿には、命の力強さが感じられました。

<絵/文 伊東雅江>

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