画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2020年4月より。

平成28(2016)年に惜しまれつつ閉館した神奈川県立近代美術館 鎌倉は、建築家 坂倉準三の設計で、近代の名建築として名高い建物でした。鶴岡八幡宮との借地契約満了後に更地返却と決められていましたが、市民の熱い保存への気持ちと、地主である八幡宮も保存の意向を見せたことから、同28年のうちに神奈川県指定重要文化財に指定されて八幡宮に譲渡、耐震改修工事ののち、令和元(2019)年6月に鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムとしてオープンとなりました。6月の正式な開館に先がけて、4月に建築が公開された時に伺いました。
半年かけた改修工事により、近代美術館だったころにはこんもりと木に覆われ参道から建物が見えなかったのが、改修後には鶴岡八幡宮の境内からすぐに見えるようになりました。美術館のエントランスも県道側にあったものが、参道から入るようになっていました。建物の中には新しくエレベーターが設置され、以前には行けなかった平家池の畔をゆっくりと歩くことができ、建物を南側から見ることができます。南外観正面から見える2階の旧賓室の窓も、大きな窓に変わっていました。
伺った日に行われていたのは、“建築公開「新しい時代のはじまり」”という、ミュージアムの開館に先がけた特別展示でした。改修工事までの道のりや工事の様子のほか、今回の改修では様々な部分を坂倉準三が携わった昭和41(1966)年の当時の状態に戻したこと、建物の特長のひとつである屋根の雨仕舞いについてや、鉄骨の柱の色もグレーから濃い茶色や緑に戻したことなど、映像と展示で分かりやすく紹介されていました。
この素晴らしい建築物が維持保存され、さらに改修されたことでより建物を楽しめるようになって本当に良かったと思いました。これからの展示が楽しみです。鎌倉市民の熱意とそれを受けて保存に動いた鶴岡八幡宮への感謝を胸に、帰路に就きました。
<絵/文 伊東雅江>




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