青蓮寺の領地で、鎌倉街道に面した小さなお堂に「つばき地蔵」というお地蔵さまが納められていました。かたわらに大きなつばきの木があり、冬になると美しい花をつけていました。
大豆で作ったじゅずを供えてお参りすると、いぼが取れるという言い伝えで、「いぼ地蔵」とも呼ばれました。
昔からいぼで悩む人は数知れず、特に年頃の娘さんはすがる思いでお参りしたのだとか。願いが叶った話が広まり、つばき地蔵は人々の信仰を集めました。夏のお祭りなどは大いに賑わったそうです。
絵/渋谷雅子
お話/コソガイ
椿地蔵は江戸時代後期に祀られ、青蓮寺が管理しています。当初は、手広交差点から藤沢方面へ約400mの位置で、大きな椿の木の下にあったそうです。
大正時代、県道の開通工事のために移転され、しばらく前まで手広交差点近くの角にありました(ストリートビュー 2010年撮影)。この頃は、左に「江の島道」の道しるべ、右に弘法大師の供養塔があり、後ろにはやはり椿の木が植わっています。
通りがかりに手を合わせる人も多く、地元で親しまれてずっと大切にされてきました。
その後、土地の所有者が変わったために2回目の引っ越しを行うことに。今はお堂も椿の木もなくなりましたが、2016年より青蓮寺の境内にお地蔵さまが安置されています。
鎖大師 青蓮寺(しょうれんじ) 鎌倉市手広5-1-8
現在の椿地蔵はこちらの記事をご覧ください。大豆に代わって小石がお供えされています。
文/コソガイ
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