富士洋傘

画家・伊東雅江さんの「鎌倉カレンダー」2020年6月より。

鎌倉カレンダー2020年6月

小町通りを入った最初の四つ角を左に曲がったところに、富士洋傘という傘の専門店があります。銀座大黒屋(江戸幕府御用達商)からの分家で、日本で2番目に古い洋傘メーカー直営のお店です。

創業者がハイカラ好きで、横浜商館に行きイギリス人に傘の製法を教えてもらい、明治6(1873)年に東京神保町で創業。創業時には山田屋商店という名前でした。大正3(1914)年に開催された上野博覧会で天皇皇后がお気に召し、以降宮内省各宮家御用達となり、業務を拡大して銀座などにも出店、昭和4(1929)年には大正デパートメントストアを開店するまでに業務を拡大しましたが、太平洋戦争の企業統制により業務は縮小、休業となってしまいました。戦後昭和23(1948)年に社長の別荘があった鎌倉へ移転、鎌倉駅前に山田屋洋傘店を開業、個人商店として再出発します。その後昭和30(1955)年に由比ガ浜に移り、富士洋傘と改称、海水浴のビーチパラソルの修理再生などを行うようになりました。さらに昭和35(1960)年に現在の店舗がある小町通へ移転。昭和45(1970)年に大阪万博でガーデンセットを大量受注したことをきっかけに、主な商品をガーデンファニチャーヘ移行し現在に至ります。

今現在も富士洋傘のガーデンファニチャーは、一樹ガーデン、石窯ガーデンテラス、プリンスホテルなど鎌倉市内の各所で使われていて、パラソルやガーデンチェアが素敵に庭園を彩っています。

また現在も洋傘は取り扱われていて、小町店に伺うと、フランスからの輸入のステッキや、お洒落な傘が並んでいます。お店のお客様の中には俳優や歌手の方などの著名人のほか、親子三代にわたり富士洋傘の傘を愛用されている方などもいて、お母様の形見の修理を依頼されることもあるそうです。

<絵/文 伊東雅江>

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