画家・伊東雅江さんの2015年11月の「鎌倉カレンダー」より。
昨年の春、鎌倉市川喜多映画記念館で企画展(女優王国 松竹大船撮影所物語〉が開催されていました。当時の様子がよくわかるとてもいい展示で、寅さんなどの懐かしい映画のポスターや脚本、撮影所の当時の写真などが多数ありました。また当時作られた「松」と「竹」のデザインのマンホールのふたが入り口に飾られていました。この展示が興味深かったのと、11月29日は映画の中の寅さんの誕生日ということを知ったので、ややこじつけながら11月で松竹大船撮影所をご紹介します。
カレンダーの左側に描いた建物は、かつて大船撮影所の門を入るとすぐに見えた建物で、川喜多の展示写真をヒントに調べて描さました。これは大船田園都市構想を推進した渡辺銀行の渡辺六郎氏の邸宅を移築した建物で、撮影所開所当時は所員の親交を深めるクラブとして使用され、後に宣伝部、スチール、映写部が使っていました。右上には先にも触れたマンホールを描きました。
昭和11年に蒲田から大船に移転、主に現代劇の撮影所として多くの映画が作られた松竹撮影所。平成7年には、松竹百周年記念事業として所内に鎌倉シネマワールドも作られましたが、わずか3年間で閉鎖。平成12年には撮影所自体が惜しまれながら閉所となりました。現在跡地は鎌倉女子大学・イトーヨーカドー・鎌倉芸術館などになっています。寅さんと美空ひばりさんのタイル壁画が現在も撮影所の跡にあり、この場所が撮影所であったことを語っています。
<絵/文 伊東雅江>
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