渋谷雅子

民話・伝説

むじな塚

鎌倉の深い山の奥に瑞泉寺があります。このお寺の前には管理人の老夫婦が住んでいました。ある晩、近くの寺のお坊さんという人がお酒をもって訪ねてきました。 老夫婦は囲炉裏に案内し、あたたかい食事をふるまいました。それからこのお坊さんがよく食べに来...
民話・伝説

杉本観音

二階堂にある大蔵観音堂が、火事に見舞われたときのことです。ご本尊の観音像3体のうち、2体は寺の人が背負ってなんとか助け出しました。 ところが1体は見当たりません。村人が探すと、境内の大杉の根元に観音さまがいらっしゃいました。どうやら自ら動い...
民話・伝説

今泉(いまいずみ)

高名な僧・空海が修行中に鎌倉に立ち寄った時の話です。 雲間からさす光に導かれ、空海が山奥深くまで進むと、どこからともなく翁と媼(男女の老人)が現れ言いました。 「我らは千年にわたってこの金仙山(こんせんざん)に住んでいる。ここに不動明王の像...
民話・伝説

つばき地蔵

青蓮寺の領地で、鎌倉街道に面した小さなお堂に「つばき地蔵」というお地蔵さまが納められていました。かたわらに大きなつばきの木があり、冬になると美しい花をつけていました。 大豆で作ったじゅずを供えてお参りすると、いぼが取れるという言い伝えで、「...
民話・伝説

星月の井(ほしづきのい)

奈良時代、高名な僧・行基が、鎌倉の極楽寺坂を越えた坂ノ下あたりで虚空蔵を祭る法を行いました。すると、ここの井戸の中で明星が光り輝いて見えました。それは七日間も続き、行基は井戸の中に何か特別なものが入っているに違いないと感じました。 土地の人...
民話・伝説

ネコ池

むかし、津村(鎌倉の西の方)に小さな池がありました。底には大蛇が住んでいるという。 ある天気の良い日、大蛇はネコに姿を変え、池の周りを散歩していました。畑仕事を終えた近くの農夫が涼むために、池に足をひたしに来ました。農夫は、いつもと違ってと...
民話・伝説

五頭龍(ごずりゅう)

むかし深沢の湖に、5つの頭を持つという五頭龍が住んでいました。龍は津村から腰越にかけて山を崩し、田畑を荒らし、子どもをさらい、村人に恐れられていました。 ある日、海の上に突然黒い雲がわき、はげしい雷鳴とともに波の間から江ノ島があらわれました...
民話・伝説

建長寺のたぬき和尚

もうずいぶん前のお話です。建長寺の三門はすっかりさびれていました。再建のために、万拙(ばんせつ)という和尚さんが一生懸命に托鉢し、工事のためのお金を集めていました。 建長寺の裏山のたぬきたちは熱心な和尚さんに感動し、自分たちもお手伝いをした...
プロフィール

渋谷雅子さんプロフィール

1944年 新潟県生まれ。1987年から鎌倉在住。 地域の文庫活動にかかわり、読み聞かせや手作り影絵を上演するかたわら、鎌倉の昔話・伝承やおとしよりからの聞き取りをもとに、まちの歴史を絵と文章で伝える。 2018年「茂さん」出版。現在も鎌倉...
まちと暮らし

鎌倉玉縄のちょっと昔のお話

鎌倉の玉縄で生まれ育ったおじいさんが、子どもの頃の暮らしをお話ししてくれました。 紙芝居は画像クリック(タップ)でご覧ください。連続して読めます。 おはなし/石井博 1927年 鎌倉市関谷に代々続く農家に生まれる。玉縄小学校出身。国鉄に勤務...